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カテゴリー:近況

2023年を振り返って

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今年はひたすら地面を耕し続ける一年でした。この一言に尽きます。……あ、あくまでアニメ制作においてはの話ですよ。対外的にはむしろ昨年に引き続き露出が多い一年でもありました。雑誌取材や対談の依頼、イベントの登壇、あとは大学や専門学校でトークする機会も多かったですし。じつは年明けも地元福岡の九州大学で講義します。あとは……そうそう。昨年に引きつづき新作公開映画にコメントを書かせて頂く案件が急増しました。うーん、なぜだろう。ついさっきも来年公開の某オリジナルアニメーション映画のコメントを書いておりましたし。一足先に観られるのは役得だなあ~なんて思います。
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あ、登壇で思い出しましたが『アイの歌声を聴かせて』がなんと、この年末も単館映画館で上映してるんですよ! 公開から二年も経とうとしているのに本当に嬉しいです。客席もたいそう埋まっているそうで、先日参加させて頂いたトークイベントも満席でキャンセル待ちも沢山あったとか……本当にありがとうございます。こないだ配信開始したアマプラでも新規のお客さんが増えたみたいで嬉しい限りです。
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まあ、それはさておき新作の話をって感じですよね。まだまだ世に出せるタイミングでないのが心苦しいですが、少しづつ前に進んでおります。
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で、最近思うのが「なぜオリジナルアニメーション映画なのか?」ってこと。昨今このジャンルはなかなか大変な状況ですが、それでも短絡的に「オリジナル企画=観客に興味を持たれない」ってシンプルな話では無いと思っています。なんというか「オリジナル映画を観に行く理由」ってのを真剣に考えないといけなくて。すっごく乱暴な言い方をすると、いわゆる人気作の下位互換に見えてしまうのではなく、映像発の企画だからこそできる瞬発力のあるアイデアで、それこそポスター1枚、映像5秒で「面白そう!」と興味を持ってもらえるような内容である必要があるんじゃないかと。そして、それをフックに映画館に足を運んだ結果、それ以上のしっかりとしたドラマに触れることが出来て、満足して映画館をあとにできるような……そんな物語が理想だと思っています。
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まあ言うのは簡単です。その理想にどうやってリーチするか、それが今の自分にとって一番頭を使うべきことだと思いますが、正直、その手ごたえは感じています。もちろん決して簡単な道のりでは無いですが、その結実をいつか必ず皆さんにお届けするつもりです。どうか今しばらく見守って頂ければ幸いです。
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それでは皆様、どうか来年もよろしくお願い致します!

2022年を振り返って

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2022年は公開年よりもむしろ『アイの歌声を聴かせて』関連の動きが多い一年でした。日本アカデミー賞の晴れ舞台に出席させて頂いたこと、BD発売&配信開始、そしてこの大晦日にあってもいまだ劇場にてリバイバル上映が続いていること……挙げればキリがありません。本作キッカケで海外にも二度ほどお呼ばれしましたしね。いままで幾つもの作品を制作してきましたが、『アイうた』ほど観客の方々とのつながりを実感できた映画はありません。どうか今後も末永く愛して頂ける映画になりますように。
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しかもこの年末は嬉しいサプライズ……『イヴの時間』舞台化も実現しました。元をたどれば「舞台っぽいアニメーション作品を創るんだ」と意気込んで企画した作品なだけに、その感慨もひとしおです。自分は千秋楽で観させて頂いたのですが、舞台の上で生身の役者の方々が紡いで下さるあの物語空間は、僕自身にとっても至高のひとときでした。アニメに比べると当然ながら各キャラクターの感情の解像度が高く、ああ、アニメーションでああいった表現はできないものか……と(ある意味で)悶々としておりました。もう10年以上も前の作品ですが、いまだこうして注目して頂けるのは本っ当に監督冥利に尽きます。
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他にも現状まだ表に出ていないスタッフワークだったり、クリスマスはキャンプギアを抱えて山にこもったりと色々と動いておりました……が、何よりも次回作の実現に向かって少しづつ歩を進めております。もちろん、このご時世で完全オリジナルの映画を創り続ける事は言うほど簡単なことではありません。正直なところ、この一年は辛く苦しい年でもありました。期待と挫折を繰り返しつつ、それでも定期的に頂けるファンの方々の応援や感想のメッセージを糧に、自分を奮い立たせて前に進んでおります。必ず皆さんに、また再び、面白い映画をお届けしますので、どうか今しばらくお待ちください。
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それでは皆様、どうか来年もよろしくお願い致します!

2021年を振り返って

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映画『アイの歌声を聴かせて』が、観てくれた方々に熱く迎えられて本当に良かった……今年はとにかくこれに尽きる一年でした。もちろん幾多の反省点も目の当たりにしましたが、それでも監督として、物語を語る創作者として、心底嬉しかったのは間違いありません。当初は静かに、次第に熱い思いと共に広まっていった本作は、さながらシオンたちの物語の続きを見ているようでした。応援して下さった皆様に、この場を借りて改めてお礼を言わせて下さい。本当にありがとう。本作を世に出すことが出来た監督として、とても幸せです。
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と、なんかシメっぽい言い方をしてしまいましたが、ありがたいことに『アイうた』の上映はまだまだ来年も続きます。現時点で舞台挨拶系のイベントも3つほど決まってますし。お近くの方、どうぞご参加ください。
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だからこそ皆さんの想いに報いるために、そして自身に報いるために、自分がやるべきは未来に目を向けることだと思っています。今、とある静かな喫茶店でこの文章を書いているのですが、ブログ執筆はあくまで箸休め。ついさっきまでバリバリお仕事をしておりました。『アイうた』で皆さんに届けることが出来た面白さや楽しさを糧に、もっともっと面白くて楽しい映画を創りたい、と、最近の自分の胸の内はもっぱらこんな感じです。応援してくれた方々の熱が伝播したんでしょうね。この時代に映画を創ることができて、本当に良かった。
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来年2022年は新たな出発の年、そして大きく異なる一歩を踏み出す年でもあります(そして『アイうた』の映画館上映&そのうちDVDとBDとか配信とかで再会するんじゃないかな。その時はまたお会いしましょう)。それではどうか、来年もよろしくお願いします。

2020年を振り返って

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ここ数年続いていた、年末の「情報は出せないけどいま何かを頑張ってるんですよブログ」もようやく終わりを迎えました。『アイの歌声を聴かせて』いよいよ来年公開。つまり2020年はひたすら制作に没頭した一年でした。
ホント、長く苦しい戦いだった……いやまだ終わってない! 昨今の事情を鑑みて今年は数年ぶりに帰省を断念し、年末年始くらいはゆっくり休むつもりでしたが、結局は本日31日も今の今までチェック仕事。それを終えてようやくこのブログを書いている次第です。
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新作『アイの歌声を聴かせて』の制作現場は、色んな側面で今までとは勝手が違います。思い返せば『イヴ』も『パテマ』も、いわば半インディーズみたいなスタイルで制作していたんだなあとつくづく思い知らされました。そのくらい本作に関わるスタッフ&製作陣の数は多く、監督として考えなければいけないことのなんと多いこと。でもその一方で、自分の半インディーズなスタイルのクセは抜けず、結果的にいつもの2倍くらいのタスクをしょい込んで監督作業を続けております。これはもう自業自得としか言いようが無いですが(笑)
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でも、それくらい『アイの歌声を聴かせて』の制作に没頭している自分がいるんです。もちろん今までの作品も大概はそうでしたが……。何と言いますか、自分の人生の数年を費やす以上「作品制作=自分の生き方そのものになっている思考」が本作は特に強いと言いますか。生き方って言うと大袈裟かもしれないけれども、「仕事」という言葉では絶対に片付けられない何かではあるんです。……普段はこんなこと思いながら机に向かうことは無いんですが、年の瀬に一年を振り返って、そんな思いに強く駆られました。
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新作の内容について触れられないのを申し訳なく思ってます。とにかく底抜けに楽しい映画にしたい、楽しい映画として完成させたい。それが今の自分の全てです。
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来年2021年はいよいよ新作公開の年。続報を楽しみにお待ちください。それでは良いお年を!

新作映画『アイの歌声を聴かせて』

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新作映画『アイの歌声を聴かせて』が情報公開となりました。2021年の公開を目指して制作中です。というわけで、わざわざこのページにアクセスして頂いているような人のためにも、色々と近況をお話ししようかと思います。
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……ようやくの新作発表です。劇場オリジナル作品としては『サカサマのパテマ』以来、なんと7年ぶりですね。長かった。いやもちろん、この間も中編・短編と色々発表をしてはいました。アニメミライ2014にて『アルモニ』、日本アニメーター見本市にて『PP33』『ヒストリー機関』『パトレイバーREBOOT』。他にも、他者作品のお手伝いだったり、世間一般には出ていないBtoB案件なんかもやってたりします。
でも、やっぱり長編アニメーションを制作しないことにはなかなか世間一般的に認識されないみたいですね。これ本当に実感しました。このページをスクロールしてもらえば分かると思いますが、ここ何年かはほとんど記事が無い。年末が来るたびに「今がんばってます」と近況を書き続けるだけという。ああ、本作の発表までこぎつけることが出来て本当に良かったです。
とはいえ『アイの歌声を聴かせて』まだまだ制作途中、引き続き気を引き締めてがんばります。
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現状では特報映像を出しただけの段階ですので、制作スタッフ&キャストだったり物語の詳細なんかは今後少しづつ明らかになってゆくと思います。もう少々お待ち下さい。それでも本作の発表に併せて色々と反応を頂けたのは嬉しかったです。元気をもらっています。
その反応も様々で面白いんですが、「なんか今までと違う(意訳)」というご意見をよく目にします。これについてはその通りです。正直、自分でも自覚的に色々と変えました。何しろ前回の長編制作から色々と変遷がありまして、そりゃあ「自分が創るべき」と考えている方向性も変わるというものです。例えば(他者様の原作ではありますが)『パトレイバーREBOOT』における、伊藤和典さんとの脚本共同執筆や、とにかく娯楽に全振りするあの快感には大きな影響を受けました。『アイうた』は、いわばその経験をオリジナル作品に逆輸入したバージョンです。
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じゃあ翻って、以前の自分はどんなスタンスで制作していたんだろう?
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SFの要素? センスオブワンダーを感じる物語? 表面的にはそんな所かもしれませんが、もっと露骨に言うならば「何か一つはチャレンジングなことを」だったように思います。舞台劇のような会話の雰囲気、重力サカサマのヒロイン、リアルな学校空間の描写、美術による怪獣アニメ―ションに、超真面目な顔したコメディなど。
では本作『アイの歌声を聴かせて』はそういった要素が無いのか? と言われると……いや、そんなことは全くなかったですね笑。本作にもあります、チャレンジングな要素が。特報映像を見ればその片鱗は見えるかもしれませんが、何と言いますか「王道過ぎて逆にあんまりやられてこなかったことをやろう」くらいの意気込みで制作してます。
そういった意味では、結局のところ、公式サイトのコメントでも書いているように「楽しい映画にしよう」という意気込みが一番大きな心境の変化なのかもしれません。
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自分がどんな言葉で取り繕っても、監督としての根っこの部分は変わらないですね、きっと。変えたくても変えられない。だから、以前からこのページにアクセスして下さってる皆さんが期待しているような要素は、本作の中にも十二分に入っていると思います。
王道の青春劇なの? SFなの? まさかのミュージカル?
あえてどれが正解とは言いません(実際、どれに対してもYESともNOとも言えます)。でも、心の底から楽しめるものにしようという羅針盤は、制作当初から全くぶれていないつもりです。
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繰り返しになりますが、本作は王道でありながら、同時にめちゃくちゃチャレンジングな内容でもあります。そして日々スタッフによって仕上がって来る成果を見るたびに、この方向性で間違っていなかった! と実感しています。何だか取り留めのない文章になってしまいましたが、これが今の自分の素直な気持ちです。
皆さま『アイの歌声を聴かせて』の完成を、どうか楽しみに待っていてください。

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