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カテゴリー:近況

新作映画『アイの歌声を聴かせて』

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新作映画『アイの歌声を聴かせて』が情報公開となりました。2021年の公開を目指して制作中です。というわけで、わざわざこのページにアクセスして頂いているような人のためにも、色々と近況をお話ししようかと思います。
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……ようやくの新作発表です。劇場オリジナル作品としては『サカサマのパテマ』以来、なんと7年ぶりですね。長かった。いやもちろん、この間も中編・短編と色々発表をしてはいました。アニメミライ2014にて『アルモニ』、日本アニメーター見本市にて『PP33』『ヒストリー機関』『パトレイバーREBOOT』。他にも、他者作品のお手伝いだったり、世間一般には出ていないBtoB案件なんかもやってたりします。
でも、やっぱり長編アニメーションを制作しないことにはなかなか世間一般的に認識されないみたいですね。これ本当に実感しました。このページをスクロールしてもらえば分かると思いますが、ここ何年かはほとんど記事が無い。年末が来るたびに「今がんばってます」と近況を書き続けるだけという。ああ、本作の発表までこぎつけることが出来て本当に良かったです。
とはいえ『アイの歌声を聴かせて』まだまだ制作途中、引き続き気を引き締めてがんばります。
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現状では特報映像を出しただけの段階ですので、制作スタッフ&キャストだったり物語の詳細なんかは今後少しづつ明らかになってゆくと思います。もう少々お待ち下さい。それでも本作の発表に併せて色々と反応を頂けたのは嬉しかったです。元気をもらっています。
その反応も様々で面白いんですが、「なんか今までと違う(意訳)」というご意見をよく目にします。これについてはその通りです。正直、自分でも自覚的に色々と変えました。何しろ前回の長編制作から色々と変遷がありまして、そりゃあ「自分が創るべき」と考えている方向性も変わるというものです。例えば(他者様の原作ではありますが)『パトレイバーREBOOT』における、伊藤和典さんとの脚本共同執筆や、とにかく娯楽に全振りするあの快感には大きな影響を受けました。『アイうた』は、いわばその経験をオリジナル作品に逆輸入したバージョンです。
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じゃあ翻って、以前の自分はどんなスタンスで制作していたんだろう?
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SFの要素? センスオブワンダーを感じる物語? 表面的にはそんな所かもしれませんが、もっと露骨に言うならば「何か一つはチャレンジングなことを」だったように思います。舞台劇のような会話の雰囲気、重力サカサマのヒロイン、リアルな学校空間の描写、美術による怪獣アニメ―ションに、超真面目な顔したコメディなど。
では本作『アイの歌声を聴かせて』はそういった要素が無いのか? と言われると……いや、そんなことは全くなかったですね笑。本作にもあります、チャレンジングな要素が。特報映像を見ればその片鱗は見えるかもしれませんが、何と言いますか「王道過ぎて逆にあんまりやられてこなかったことをやろう」くらいの意気込みで制作してます。
そういった意味では、結局のところ、公式サイトのコメントでも書いているように「楽しい映画にしよう」という意気込みが一番大きな心境の変化なのかもしれません。
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自分がどんな言葉で取り繕っても、監督としての根っこの部分は変わらないですね、きっと。変えたくても変えられない。だから、以前からこのページにアクセスして下さってる皆さんが期待しているような要素は、本作の中にも十二分に入っていると思います。
王道の青春劇なの? SFなの? まさかのミュージカル?
あえてどれが正解とは言いません(実際、どれに対してもYESともNOとも言えます)。でも、心の底から楽しめるものにしようという羅針盤は、制作当初から全くぶれていないつもりです。
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繰り返しになりますが、本作は王道でありながら、同時にめちゃくちゃチャレンジングな内容でもあります。そして日々スタッフによって仕上がって来る成果を見るたびに、この方向性で間違っていなかった! と実感しています。何だか取り留めのない文章になってしまいましたが、これが今の自分の素直な気持ちです。
皆さま『アイの歌声を聴かせて』の完成を、どうか楽しみに待っていてください。

2019年を振り返って

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2019年のブログも、こんなフワッとした内容で締めることになろうとは。今はただひたすら「とにかく頑張って制作しています」という感じの毎日です。今日も先程まで机に向かっておりました。……と、現状で言える事と言えばそのくらいなのですが、せっかくなのでちょっとしたお話を。
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僕の両親の話です。父も母も、昔から僕の仕事を応援してくれています。ちなみに二人とも日常的に映画を見る趣味は無く、ましてやアニメーションとは縁遠い人たちです。それでも僕が作品を発表するたびに、映画館に足を運び、周囲の知人に宣伝活動なんかをしてくれています。もちろん、必ずしも作品内容の全てを理解している、という感じではありませんが……まあとにかく肯定的に応援はしてくれているんです。
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で、ある時、母にこんなことを言われました。
「せっかく時間を使って映画館に観に行くんだからなら、楽しくて幸せな気分になれるものが見たいわぁ」
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したり顔で「僕だって楽しいものを作ろうとしているよ!」と言い返そうとして、ふと言葉が詰まりました。自分は果たして、「観た人を笑顔にしよう」という(口にすると恥ずかしいけど、しごくまっとうな)目的意識でもってアニメーション映画を作ったことがあっただろうか? 意外と……無い気がしたんですよねこれが。映画館を出たお客さんが、ニコニコしながらあれやこれや映画の内容に花を咲かせている。その直前まで見ていた映画ってどんなだろう? それが今作の企画の出発点の一つです、とまあ、そういうお話です。
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今年も残すところあとわずか。皆様どうか良いお年をお迎えください!
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【追記】帰省した折に母から「作品のこと分かってないとか書かないでよ。私がバカみたいじゃない」とお叱りを受けたので、その旨追記します。本人が言うにはちゃんと理解しているそうです。

2018年を振り返って

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早いもので2018年も終わりですね。昨年、一昨年と似たような文章や写真で年末を締めておりましたが、今年も特に目新しい発表もなく本っ当に申し訳無いです。もちろん2018年も日々制作にまい進していたのですが、いかんせんここ最近の短編とは規模が違うため、なかなか進捗を発表できずにいる次第です。
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という訳で(ツイッターなんかで小出しに情報を出してはいましたが)久々に規模の大きな作品を制作しています。同様の規模の作品は過去に二度ほど制作しましたが、今作はここ最近の短編で得た”演出的デジタルツール”をフル活用することにより初めて制作可能になった企画じゃないかなと思っています(※個人の感想です)。
特に、いわゆるプリプロダクションの段階で出来ることの選択肢が増えた事がとても大きいですね。可能な限り完成系に近づけたイメージを早い段階で出力してチェックできるのは本当にありがたいです。
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そういえば自分の場合、新しいツールを制作に導入する際に毎回意識していることがありまして。それは、そのツールを消極的理由”だけ”でなく、積極的理由でもって使用するということです。
あ、意味わかんないですね。そうですね、例えば……『パトレイバーREBOOT』ではCGレイアウトを多用していますが、これには二つの意義があります。一つは、一定のクオリティのレイアウトを早い段階で担保すること。これまでのパトレイバー作品の超絶レイアウトに対抗するための消極的な手段とも言えます。二つ目は、CGレイアウトでしか実現し得ない画作りを積極的に導入すること。これは技術というよりも発想に関する問題ですが、フレッシュな作品作りには大いに役に立ちます。
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何だかとりとめがなくなってきました。つまり何が言いたいかといいますと、そのようなポリシーで制作する今作は自分にとって意義のあるチャレンジングな作品だってことです。あれ、でも王道といえば王道かな? うーん、どっちだろう。過去作でも似たようなこと言ってたなあ。まあいいや。
詳細を明かすのはもう少し先ですが、楽しみに待っていて下さい。というわけで今年も残すところあとわずか。皆様どうか良いお年をお迎えください!

2017年を振り返って

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↑いま流行のムービーコンテソフトを自分も導入してみました(笑)。『パトレイバーREBOOT』まではアドビソフトを連携して無理やり処理していた作業が、このソフト一つで完結するのは非常~~~に便利ですね。コピー&ペーストを使えばPhotoshopとも一応は連携できるみたいですし。今後の発展性も期待したうえで、自分にとっての主力ソフトになってゆく気がしております。
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……と暗に示したとおり、2017年はひたすら準備に徹する一年でした(来年も似たようなものだと思いますが)。ここ最近で続けてきた短編系とは違う方向性で仕事を進めております。とはいえ、過去の作品とも似たようで違う方向性かな? これがまあ大変で、何度も悩んだりの試行錯誤を経ながら、それでも着実に前に進むぞ! の心意気でプロペンを握り締めている毎日です。ここまでアニメーションを創ることの大変さと楽しさを感じたのは本当に久しぶりです。20代の頃の『イヴの時間』制作時を思い出します。
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まだしばらくこの作業は続きそうですが、直近の制作で得られた”ストレートな面白さ”を糧に、皆さんへお届けする日に向けてひたすら進み続けるつもりです。今年も残すところあとわずか。皆様どうか良いお年をお迎えください。

2016年を振り返って

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2016年は自分にとってターニングポイントとなった年でした。『アルモニ』以降から開始した試行錯誤の集大成として制作した『パトレイバーREBOOT』が、自分に想像以上の恩恵をもたらしてくれたのがその最たる理由です。作品それ自体の成果に留まらず、制作を通じた他者との繋がりが、今まで以上に外側へと広がったことが実感できた一年だったように思います。(なお本作は2017年2月28日までWEBで無料公開しています。未見の方は今の内にどうぞ)
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さて、パトは2016年の前半期を費やして制作したのですが、実は後半期も(パト関連の取材を頂きつつ)いくつかの別のチャレンジを繰り返していました。まだまだ進行中なプロジェクト、制作終了したものの公開自体が未定なプロジェクト等々、バラエティに富んでいます。
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その流れを受けて来年からは、コンスタンスに作品を発表してきたここ数年とは違うタームに入ることになりそうです。今年も残すところあとわずか。皆様どうか良いお年をお迎えください。

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